野球計算機

打率 = 安打数 ÷ 打数
打者が安打を打つ確率を示したもの。選手個人の能力が色濃く反映するタイトルであるため、一般的にも最も注目される成績のひとつ。規定打席に達している選手の中で最も高い打率を記録した選手は、首位打者と呼ばれる。また、四死球は打数にカウントされない。日本のプロ野球における、打率のシーズン記録は、ランディバースが1986年に記録した.389が最高となっており、メジャーリーグでは1894年のヒュー・ダフィーが記録した.440が最高記録である。
出塁率 = (安打 + 四死球) ÷ (打数 + 四死球 + 犠飛)
打者の凡退しない確率を示したもの。野手の失策による出塁は凡退とみなされ、振り逃げも同様となる。あくまでも安打と四死球による出塁のみが対象となる。 近年では、打率よりも出塁率のほうが得点に結びつく要素が高いといわれていることから非常に重要視されてきている記録である。単純に安打を稼ぐ能力と同時に、四球を選ぶ選球眼も必要とされるため個々の打撃センスが問われるものとなっている。

現在NPBでは出塁率は通算記録を集計しておらず、シーズン記録のみしか公開していない。また、古い時代の記録も集計していないため、1974年に王貞治が記録した.534は非公式扱いとなっている。その為1986年に落合博満が記録した.487が公式の出塁率シーズン記録である。

MLBの通算1位はテッド・ウィリアムズの.482。シーズン1位はバリーボンズの.609(2004年)。
長打率 = (総安打数 + 二塁打数 + 三塁打数x2 + 本塁打数x3) ÷ 打数
長打率とは、1打数において打者が打撃の結果獲得できる塁数の期待値を示すものである。 打率が、単打・二塁打・三塁打・本塁打を全て「1安打」としてカウントするのとは異なり、塁打の場合は「単打=1、二塁打=2、三塁打=3、本塁打=4」として計算される。 その名称から、しばしば「長打を放つ確率」のことだと誤解されるが、たとえヒットの全てが単打であっても、長打率は0ではない。ヒットの全てが単打の場合は、安打数=塁打数になるため、打率=長打率になる。 英語では「Slugging percentage」といい、直訳すれば「強打率」となる。

プロ野球での通算長打率歴代1位は王貞治(.634)
シーズン記録は1986年のランディ・バース(.777)
メジャーリーグの通算長打率1位はベーブ・ルース(.690)
シーズン記録は2001年のバリーボンズ(.863)
OPS = 出塁率 + 長打率
On-base Plus Sluggingの略。 出塁率と長打率とを足し合わせた値である。得点との相関関係の強さと簡単な算出方法により、メジャーリーグでは打者成績の公式記録に採用されている。米国球界経験者(1A)のG.G.佐藤が西武時代にOPSに応じた出来高を導入するなどし、徐々に日本プロ野球界でも認知度が高まりつつある。しかし、各選手のOPSを掲載している選手名鑑やスポーツ紙はあまりなく、パワフルプロ野球シリーズでも公式記録としては採用していないため、浸透度は低いのが現状である。

メジャーリーグでは一般にOPSが.800を超えれば一流、.900を超えるとオールスター級の優秀な打者、1.000を超えると球界を代表する強打者とされている。

日本プロ野球での通算1位は王貞治の1.080。
シーズン1位は王貞治の1.293(1974年)。
MLBの通算1位はベーブ・ルースの1.164。
シーズン1位はバリーボンズの1.422(2004年)。
NOI = (出塁率 + 長打率 ÷ 3) x 1000
New Offensive Indexの略。 ロサンゼルス・ドジャースの元GM、ポール・デポデスタが考案した指標である。

デポデスタはかつてオークランド・アスレチックスでビリー・ビーンのGM補佐だった際に、OPSの見直し作業からこの指標を生みだした。

ブラッド・ピット主演の映画「マネーボール」はこの指標が誕生した時期のアスレチックス内の構造改革を描いた作品であるが、中心的人物であったデポデスタは実名を使われる事を拒否したためにピーター・ブランドという仮名で登場している。直接的な指標名こそ出てこないもののデポデスタが独自の指標を生み出して選手を評価している描写が存在する。

デポデスタは、過去のMLBのチームデータを基に、「出塁率と長打率の割合を3:1にすれば、両者の和であるNOIはOPSよりも実際のチームの総得点数との近似性がさらに高まる」という推論を導き出した。この基準に沿ったNOIでは、OPSよりも本塁打の価値が下がる代わりに四球の価値が上がるとされる。NOIは450以上ならば平均的な打者、550以上ならば主力級の打者、600以上ならば一流打者となる。
規定打席数 = 所属球団の試合数 × 3.1
英語名はOfficial At Bats。しばしばOABと略される。
NPBおよびMLBにおいてこの計算式は同じである。

少し悲惨な話をすると、仮に年間の全試合を27人で完封され続けたチームがあったとした場合、そのチームは1人3打席しか回ってこないため、3ではなく3.1を掛けているこの計算式では、誰一人として規定打席数には到達しないことになる。
塁打数 = 総安打数 + 二塁打数 + 三塁打数x2 + 本塁打数x3
次式で求められる。
塁打=単打×1+二塁打×2+三塁打×3+本塁打×4=安打+二塁打+三塁打×2+本塁打×3
また、塁打を打数で割ると長打率になる。

日本プロ野球での通算1位は王貞治の5862。
シーズン1位は小鶴誠の376(1950年)。
MLBの通算1位はハンク・アーロンの6856。
シーズン1位はベーブ・ルースの457(1921年)。
盗塁成功率 = 盗塁 ÷ (盗塁 + 盗塁死)
近年、盗塁には激しい論争がある。
かつてメジャーリーグでは盗塁は美しく、技術であり勝利への不可欠な要素と考えられてきたが、 2000年代に普及したマネーボールにより盗塁の有効性は疑問視され始めている。

例えば1塁ランナーが仮に2回連続盗塁に成功し3塁まで行けたとしてもランナーが増えるわけではない。むしろ失敗する事によりアウトカウントが増えランナーが減る恐れがある。セイバーメトリクス的には成功率7割以上でプラス、それ以下だと損失にしかならないので盗塁しないほうが良いとされる。

また、単純な盗塁死の他に牽制によるアウトのリスクもある。盗塁死に牽制死も含めた場合の真の盗塁成功率では7割を越えられる選手はほとんど居ない。マネーボール理論で盗塁はしないほうがいいとされるのはこれが理由である。


盗塁成功率が特別に高い選手として有名なのはイチローである。

<イチローの通算盗塁成功率>
NPB通算 85.8% ※100盗塁以上ではNPB記録
MLB通算 82.9% ※2011年シーズン終了時点

と非常に高い盗塁成功率を毎年記録しており、2007年には45連続盗塁成功をシーズンをまたいで達成し、ア・リーグ記録を5つ更新した。 (途切れた原因は盗塁失敗ではなく、2番打者のホセ・ビドロがサインを見落として投球を見送ったヒットエンドランの失敗が原因)

イチローは牽制死を含めた成功率でもMLBで7割5分近い数字を残しており、マネーボール理論において「盗塁した方がいい」非常に数少ないベースランナーである。
RC = (2.4×C+A) × (3×C+B) ÷ 9×C - 0.9×C

A = 安打 + 四死球 - 盗塁死 - 併殺打
B = 塁打数 + 0.26 × 四死球 + 0.53 × 犠打 + 0.64 × 盗塁 - 0.03 × 三振
C = 打数 + 四死球 + 犠打
Runs Createdの略。 過去に生まれた打率や本塁打などの指標はそれぞれ独立した指標であり、お互いを比較することが困難であった。打率を例にしてみると、安打と本塁打が同じ価値であったり、四球は投手の完全なるミスという理由で無価値とみなされるなど欠陥も多かった。RCはそんな古来の指標に変わる新たな指標として開発された。

当初は出塁率に塁打数を掛けるだけのシンプルな指標だったが、盗塁や犠打、犠飛などの要素を加えたり、実際の得点から逆算して係数を求めるなど常に得点との相関性を高める改良が加えられた。 チームの全打者のRCを合計すると、シーズン中のチームの総得点とほぼ一致するように式が作られている。

同じ得点との相関を示したOPSなどより難解な計算方法となっているが、OPSの欠陥として指摘されていた走塁能力(盗塁)を考慮したため、より正確な得点能力を算出できるようになった。これによってリードオフマンとパワーヒッターなどの全くタイプ・役割の違う選手同士を平等に比較できるようになった。
RC27 = RC ÷ (打数-安打+盗塁死+犠打+併殺打) × 27
ある打者が一人で打線を組んだ場合の1試合(27アウト)あたりの得点数。 RCはチームの他選手や打順に左右される打点や得点を補正する点では優れているが、その性質上打席が多いほど大きくなる傾向があり、打席数の大きく異なる選手を比較することには向いていない。RC27はRCを応用し打席数を均等化した指標。
XR =
0.50x単打
+ 0.72×二塁打
+ 1.04×三塁打
+ 1.44×本塁打
+ 0.34×(四球+死球-敬遠四球)
+ 0.25×敬遠四球
+ 0.18×盗塁
- 0.32×盗塁死
- 0.09 × (打数-安打-三振)
- 0.098×三振
- 0.37×併殺打
+ 0.37×犠牲フライ数 + 0.04×送りバント数
eXtrapolated Runsの略。得点を生み出す能力を評価する総合指標。得点におけるチームへの貢献度を示す。 RCの改良版とされており、単打の価値を1とした場合に下記のような重みをもたせた計算式である。
単打1
二塁打1.44
三塁打2.08
本塁打2.88
四死球(除敬遠)0.68
敬遠四球0.5
盗塁0.36
盗塁死-0.64
凡打-0.18
三振-0.196
併殺打-0.74
犠牲フライ0.74
送りバント0.08
XR27 = XR ÷ (打数-安打+盗塁死+犠打+併殺打) × 27
ある打者が一人で打線を組んだ場合の1試合(27アウト)あたりの得点数。アウトにならない間にいかに得点数を稼ぐかという野球の形式が表されており、アウト数で標準化されているので出場数の異なる複数の打者の得点創出能力を比較するような場合XRの値そのままよりもこちらのほうが適切。

発想自体はRC27と同一で、計算式もRC27のRC部分をXRに置き換えただけである。
IsoP = 長打率 - 打率
Isolated powerの略であり、しばしば単にIsoとも記述される。野球において打者を評価する指標の1つ。内野安打などでも数値が上昇する長打率よりも、より純粋に長打力を評価するために作られた指標である。すべての安打が単打であった場合、IsoPは0となる。
IsoD = 出塁率 - 打率
出塁率から打率を減算した数値で、「四死球によってどの程度出塁したか」を測れる四死球占有率である。評価基準は0.07から0.08あれば合格点、0.1越えならその分野では一流と言われている。
SecA = (塁打数-安打+四球+盗塁-盗塁死) ÷ 打数
Secondary Averageの略。
第二の打率とも呼ばれる。長打や四球を重視した指標で、主に同程度の打率の選手同士を比べる際に用いられる。SecAは2割5分〜2割8分が平均的な打者。

この数式は構造上

600打数0安打100四球>>>>600打数200安打無四球

となるため、 SecA単体では打者の実力を計ることは難しい。
wOBA = (0.72x敬遠を除いた四球 + 0.75x死球 + 0.90x単打
       + 0.92x失策出塁 + 1.24x二塁打 + 1.56x三塁打
       + 1.95x本塁打) ÷ 打席数
Weighted On Base Averageの略。
打者が打席あたりにどれだけチームの得点増に貢献する打撃をしているかを評価する指標。 単打・二塁打・三塁打・本塁打・四球などに対してそれぞれが持つ得点価値を加重し打席あたりで平均することによって算出される。 打撃イベントへの加重は統計的な根拠に基づくため、出塁を全て均一の価値とみなす出塁率よりも得点への貢献を総合的に表すのはもちろん、総合的な指標として簡易的な計算式であるOPSなどよりも得点力を正確に表すことができる。 数字のスケールは出塁率に合うように設計されており.330前後が平均的な水準である。
BB/K = 四球÷三振
Walk-to-strikeout ratioの略。
選球眼の高さを表す指標である。一般に四球が多い打者は打席での自制心が高く、三振が多い打者はストライクゾーンの管理能力が低い。 四球数が多く三振数が少ない打者ほどこの数値が高くなるが、一方で四球も三振も多い選手、四球も三振も少ない選手の間で同じような数値が出てしまう指標である。 いかにBB/Kに優れていても、四球が少ない打者が打席での自制心を持ち合わせているとはいえない。

75四球165三振の打者は際立つ自制心を持ち合わせている反面、管理能力はさほどない。 30四球40三振の打者は自制心が欠落している一方、ストライクゾーンを見事に管理している。 BB/Kを見る場合、四球と三振数の両方を見ることが重要である。

メジャーリーグでの歴代シーズン記録1位はJoe Sewellの18.67(1932年 四球56 三振3) また、Joe Sewellは歴代20位までに8回ランクインしている。
BABIP = (安打-本塁打) ÷ (打数-三振-本塁打+犠牲フライ数)
Batting Average on Balls In Playの略。
本塁打を除くフェアゾーンに飛んだ打球が安打になった割合を示す。どんな打者でも大抵は3割前後に推移していくが、BABIPがそれよりも高い打者は、その数値分だけ実力ではなく運により成績を上げている、という見方がされる。その運の要素は確率上収束していくものと考えられているため、BABIPが高かった打者の翌年の成績は低めに予想される。

ただしイチローや青木宣親など一塁までの到達速度が速い選手は、通常の打者なら凡打になるような打球が内野安打になるため、通常よりも高いBABIPを記録する。

分かりやすいサンプルとして、
2001〜2010年の期間でMLBの通算BABIPを集計した場合、トップは イチロー(通算打率.331、通算BABIP.357)で、2位はデレク・ジーター(通算打率.310、通算BABIP.348)となり、共に内野安打が多いタイプであった。

BABIPは平均値(3割程度)ではなくその打者の例年の平均値を基準にして読むべきという見方もある。
防御率 = (自責点 x 9) ÷ 投球回
投手が9イニングでいくつ自責点を取られるかを平均した数値である。投手の実力を最も正確に反映させる指標であるとされているが、球場の広さ、味方守備やリリーフピッチャーの実力に左右されやすく、全く同じ実力の投手が全く同じ投球内容を行ったとしてもその結果には大きな振れ幅がある為、近年のメジャーリーグでは投球「結果」を示す防御率の重要性はやや下がり、代わりに投球「内容」を示すWHIPの重要性が上がってきている。

日本プロ野球での通算1位は藤本英雄の1.90。
シーズン1位は藤本英雄の0.74(1943年)。
MLBの通算1位はエド・ウォルシュの1.82。
シーズン1位はダッチ・レナードの0.96(1914年)。
勝率 = 勝利数 ÷ (勝利数 + 敗戦数)
かつて日本プロ野球には「最高勝率」というタイトルが存在した。セ・リーグでは1973年以後勝率に関わるタイトル表彰を行なっていないが、パ・リーグでは2002年より「最優秀投手」と名を変えかつての最高勝率と同じ扱いで毎年表彰を続けている。(セ・リーグにも同名の最優秀投手のタイトルがあるが、パ・リーグと選出基準が若干異なる。2002年以降の傾向としてはセ・リーグは勝率よりも勝ち数の多さを重視して選出している為、必ずしも勝率1位が最優秀投手にはなれない)

日本プロ野球での通算1位は藤本英雄の0.697。
シーズン1位は間柴茂有の1.00(1981年)他二人。
MLBの通算1位はアル・スポルディングの0.796。
シーズン1位はロイ・フェイスの0.947(1959年)。
奪三振率 = 奪三振数x9 ÷ 投球回数
この値は投手のタイプの指標となり、少なければ打たせて取る投手、高ければ三振を取る投手と認識される。評価基準は、7.5から8.0であれば高い部類に入り9.0を超えると典型的な、三振を取る投手となる。

シーズンを通しての日本記録(規定投球回数達成者)は1998年の石井一久の11.047。大リーグ記録は2001年のランディ・ジョンソンの13.41。ちなみにシーズン奪三振世界記録を樹立した1968年の江夏豊は10.9696。
被本塁打率 = 被本塁打x9 ÷ 投球回数
敵チームに許した9イニングスあたりの本塁打数を示す。低ければ低いほどよいが、相手打者や球場に左右されやすい指標でもある。
被安打率 = 被安打 ÷ 打席数
英語名はOpponents Batting Average。
敵チームに許した打率を示す。低ければ低いほどよい。被打率が2割台前半であればかなり優秀。
WHIP = (被安打 + 与四球) ÷ 投球回
Walks plus Hits per Inning Pitchedの略。1イニングあたり何人の走者を出したかを表す数値。 走者が少なければ失点する可能性も低くなるため、この数値は投手の安定度を表す。一般に先発投手であれば1.00未満なら球界を代表するエースとされ、1.20未満ならエース級、逆に1.40を上回ると問題であると言われる。

防御率がどれだけ得点を奪われたかという「結果」を表すのに対して、WHIPはどれだけ走者を許さなかったかという「投球内容」を表している。防御率の「結果的に抑えればそれで良し」と言う考え方は、セイバーメトリクスの対極に位置するものであるため、「投球内容」を評価できるWHIPはセイバーメトリクスにおける分析手段として用いられることが多い。また、リリーフ投手の場合、投球イニングが少なく、ワンポイントとしてイニングの途中で交替することが多いため、自分の残した走者を後続投手が返すかどうかで防御率が大きく変わってくる。そのため、WHIPはリリーフ投手の評価により適している。

WHIPは日本球界においては公式記録となっていないが、アメリカのメジャーリーグや台湾の中華職業棒球大聯盟では公式記録となっている。メジャーリーグのシーズン記録はペドロ・マルティネスが2000年に記録した0.74である。
DIPS = (与四球×3 + 被本塁打×13 - 奪三振×2) ÷ 投球回 + 3.2
Defense Independent Pitching Statisticsの略。
DIPSのコンセプトは、投手の成績を「投手自身でコントロールできる部門」と「投手自身ではコントロールできない部門」に分けて、「投手自身でコントロールできる部門」だけで投手を評価することである。「全ての投手はインプレイ率が毎年安定している」という事実の発見から、失点の増減には野手の守備と運の要素が大きくかかわると考えた。そこでインプレイの要素を最初から無視し、投手のみに責任がある要素である奪三振、与四球、被本塁打から投手を評価しようとする指標がDIPSである。
DIPS2.0 = {
  フェアフライによるアウト数×-0.041 + ゴロによるアウト数×0.05 +
  ファウルフライによるアウト数×0.251 + ライナーによるアウト数×0.224 +
  与四球数×0.316 + 与死球数×0.43 - 奪三振数×0.12
} ÷ 投球回数×9
Defense Independent Pitching Statistics 2.0の略。
DIPSの提唱者ボロス・マクラッケンが後年発表したDIPSの改良式。この式では、変化球投手の評価精度を高めるほかにBABIP(ホームラン・三振以外での打率)との相関性を追求している。しかし、公式成績に出ていない指標と小数の係数を多く含めているため、計算が煩雑になっている。それを見たカナダのトム・タンゴはDIPSの簡易版としてFIPを提案した。
FIP = {被本塁打x13 + (与四球+与死球-敬遠四球)x3 - 奪三振x2} ÷ 投球回数 + 3.12
Fielding Independent Pitchingの略。
守備や偶然の要素から独立して投手を評価する指標。フィールド内に飛んだ打球がアウトになるかどうかは守備に左右される上に、 非常に運の要素が大きいことが統計的に明らかになったため、その影響を排除することでより純粋に投手の能力を評価するのがFIPのコンセプトである。 野手に関与されず投手の能力が反映されるのは被本塁打・与四球・奪三振であるため、それらに得点価値を加重し、防御率に変換して算出する。
LOB% = (安打+四死球-得点)÷(安打+四死球-1.4x本塁打)
Left On Baseの略。 出塁した走者に得点を許さなかった割合。 LOB%は味方の守備や運の要素が大きく働くとされ、年度毎の変動が大きくても一般的に年度を経る毎に一定の値に収束していくと考えられている。 そのため単年度の好調や不調の一つの要素としてLOB%が関わっている場合、翌年以降には確率が収束し、そのままの成績を維持するのは難しいとされる。(BABIPと似た「運の要素」の概念)
K/BB = 奪三振 ÷ 与四球
strikeout-to-walk ratioの略。しばしばSO/BBとも略される。
四球1つに対し、いくつ三振が奪えるかという指標であり、この数値が高いほど試合の流れを支配しているということが言える。メジャーリーグのボストン・レッドソックスが元日本ハムの岡島秀樹を獲得する際にこの数値の高さを決め手にしたという逸話もあり、近年のメジャーリーグではWHIPなどと同じく投球内容を表せる指標として重要視されている。 K/BBは3.50を超えると「優秀な投手」、1.50を下回ると「危険な投手」と認知されている。

日本プロ野球でこの数値が高い選手として最も代表的なのは上原浩治である。日本プロ野球でのキャリア通算は6.67(キャリアハイは2003年の8.43)。MLBでの通算は7.96。また、2012年は中継ぎ・抑えのみの出場ではあるが14.33を記録した(この年のリーグ平均K/BBは2.40)。

メジャーリーグではペドロ・マルティネス(2000年8.88)、カート・シリング(2002年9.58)、ランディ・ジョンソン(2004年6.59)、ベン・シーツ(2004年8.25)などが高いK/BBを記録している。

また、メジャーリーグでは2005年にカルロス・シルバという投手が188回3分の1を投げわずか71個の三振しか奪えなかったものの、与四球数も9しかなかった為にK/BBが7.89を記録し、規定投球回達成投手中MLB1位となる珍しい事態が起こった。
小松式ドネーション = (投球回数x3) + (勝利・ホールド・セーブ数x10) + (リーグ優勝・日本一・タイトル獲得数x100)
投手が1アウトごとに1,000円、勝利・ホールド・セーブ1回ごとに10,000円、 リーグ優勝・日本一・タイトル獲得ごとに100,000円を、自身の活躍として加算していく指標。

2010年にプロ野球選手小松聖が愛犬保護団体へ寄付を行うために生み出した計算式で、KDに1000を掛ければ実際のドネーション(寄付)金額となる。 意外にも寄付金の総額が投手によるチームへの貢献度を示す指標として優れていた。

従来比較の難しかった先発投手とリリーフ投手を同列に評価することが出来るという点、 勝ち星に恵まれなくてもイニング数を稼ぐ投手が高評価となる点、戦線離脱期間の長い投手は低い評価となる点、など、 防御率やWHIPなどの指標からは導けないファンから見たチームへの貢献の印象を数値化出来るのが特徴。 なお、計算を簡略化するために「リーグ優勝・日本一・タイトル獲得数」は省略して計算することもある。

能力の高い選手ほど長いイニングを任されやすく、また勝ち星やホールド、セーブを稼ぎやすいので、ドネーション金額の高い投手は能力が高いということが言える。

小松聖自身は2011年は年間で1アウトしか取れなかったのでKDは1、ドネーション金額は1000円であった。 (投球回数0.3 自責点5 防御率135.00 WHIP16.67)

この時のKD1という低さからしばしば誤解されやすいが、小松は前年の2010年に319KDを達成しており、総額31万9,000円の寄付を行い犬を何十匹か救っている。
BABIP = (被安打 - 本塁打) ÷ (投球回数x2.8 + 被安打 - 本塁打 - 奪三振数)
Batting Average on Balls In Playの略。
本塁打を除くフェアゾーンに飛んだ打球が安打になった割合を示す。どんな打者でも大抵は3割前後に推移していくが、BABIPがそれよりも高い打者は、その数値分だけ実力ではなく運により成績を上げている、という見方がされる。投手の場合は被BABIPが3割よりも低い選手は幸運で、3割よりも高ければその分だけ不幸とされている。

たとえば、松坂大輔は、2007年の被BABIPが.301と平均的であり防御率4.40であった。しかし、2008年は奪三振率・与四球率が前年より悪化したにも関わらず防御率2.90だった。ここで、成績向上の原因は、被BABIP.260という幸運に恵まれたためであり、被BABIPが平均値に(つまり運が普通に)戻った場合、2007年並みの成績に戻ると予想できる。実際の2009年は、被BABIP.382という不運にも遭い、防御率5.76に終わった。

このように、投手の場合、好成績でも被BABIPが.300を大きく下回っているのであれば、それは幸運による結果の可能性が強く、次年度以降は成績が悪化されると予想され、逆に成績が悪くても被BABIPが.300を大きく上回っていれば、それは不運による結果の可能性が強く、次年度以降は成績が向上すると予想される。
守備率 = (刺殺 + 捕殺) ÷ (刺殺 + 捕殺 + 失策)
選手が守備に関わった回数のうち失策をしなかった率を現し、守備率が高いほど、守備機会に対して失策する確率が低い選手であることを示している。 用具が未発達だった戦前から戦後一時期までの野球では失策が日常茶飯事であり、失策を減らすことが守備の際に最も野手に求められることであった。

しかし、現代では用具が発達したため、失策が格段に減り、一流選手とそうでない選手の失策数の差は僅かである。そのため、失策を減らすことも必要ではあるが、それ以上に広い守備範囲を持つことが好守の条件として重要となっている。守備率が高くても実際には難しい打球の捕球を試みないなどの消極的な守備をする守備範囲の狭い野手であったり、逆に守備率が低くても積極的な守備をする好守の選手であるといったことが良くあるので、守備率だけで守備の巧拙を一概に比較することはできない。補殺や刺殺と守備試合数(守備イニング数)を考えて評価するのが妥当である。そもそも「エラー」の判定は公式記録員の主観に基づくものであり、客観的に守備の実力を反映するものとは言いがたい。
守備機会 = 刺殺 + 捕殺 + 失策
選手が守備に関わった回数をあらわす。ゴロの処理、フライの捕球、触塁、走者へのタッチ、中継、挟殺など、アウトに関わったプレイのうち、投球を除く全てのものに記録される。
盗塁阻止率 = 刺した盗塁数 ÷ (刺した盗塁数 + 許した盗塁数)
英語名はCaught Stealing percentage。

盗塁を試みたランナーをアウトに出来た成功率である。 しかし、捕手の強肩が知られている場合、走者はよほどの俊足ランナーがうまく投手のモーションを盗めた場合ぐらいしか盗塁をしようとしないため、盗塁阻止率はさほど高くはならない。つまり、強肩捕手は盗塁走者をアウトにすることではなく、盗塁をさせない事でもチームに貢献している。そのため、捕手を評価するには、盗塁阻止率だけではなくイニングあたり盗塁数も考慮すべきである。また、盗塁を阻止するには、投手との連携や投手自身のクイックモーション及び牽制球の巧拙等にも影響されるため、一概に盗塁阻止率が低いことが捕手のみの責任、とは言い切れない。

プロ野球では一般に3〜4割あれば十分、5割あれば驚異的と言われる。

日本プロ野球での通算1位は古田敦也の46.2%。
シーズン1位は記録は古田敦也の64.4%(1993年)。
MLBの通算1位はRoy Campanellaの57.4%。
シーズン1位はShanty Hoganの75%(1933年)。
レンジファクター(アウト寄与率) = (刺殺 + 捕殺) ÷ 守備イニング数 x 9
Range Factor。しばしばRFと略される。
1977年にセイバーメトリクスの始祖、ビル・ジェームズによって提唱された。ある選手が1試合平均(9イニング換算)でいくつのアウトに関与したかを示す指標である。野球の守備はアウトを積み重ねることが目的であるので、寄与率によって守備時における選手の貢献度を数値的に理解することができる。守備範囲が広く、安打性のあたりをアウトにできる選手ほど数値が高くなる傾向にある。アメリカ・メジャーリーグの公式記録にもレンジファクター(RF)が採用されている。

一般的に同じポジションの選手どうしの守備力を相対的に比較するのに適している。

日本では守備イニング数は公式記録として発表されていないため算出が難しく、そのため出場試合数で代用した簡易版レンジファクターが用いられることが多かったが、2010年からデータスタジアム社により算出されたレンジファクターが公表されるようになった。 簡易RF =(刺殺+補殺)÷ 出場試合数
ゾーンレイティング = (受け持ちのゾーンの打球処理数 + ゾーン外での処理数) ÷ 受け持ちのゾーンの打球総数
Zone Rating。しばしばZRと略される。
レンジファクター(RF)の欠点を補正するために考案された守備指標。守備範囲内に飛んできた打球を処理できたかどうかを示す数値。あらゆる打球およびプレーをビデオ等に記録して解析する。守備範囲であるか否かの判断はメジャーリーグのデータ統計を行うStats社によって行われているため、個人で正確に算出することはできない。アメリカのスポーツメディアは、メジャーリーグの守備成績の公式記録であるレンジファクター(RF)と共に、このゾーンレーティング(ZR)の数値を一般的に公表しており、メジャーリーグ系のゲームはその数値を参考にして選手の守備力データなどが作られている。
ゲーム差 = (Aチーム勝数 - Aチーム敗数 - Bチーム勝数 + Bチーム敗数) ÷ 2
ゲーム差は、上位チームAに下位チームBが追いつくには直接対戦で最低何試合を要するか、を示すために用いられている。例えば、9勝5敗のチームBが10勝4敗のチームAに追いつくためには、直接対戦で1勝すれば、同じ10勝5敗で並ぶことになる。

ゲーム差概念が生まれたアメリカメジャーリーグには引分けが存在しない(つまり勝負がつくまで延長する。もし深夜になっても決着が付かなければ「サスペンデッド・ゲーム」として後日途中からコンティニューして試合を行う)ため、

貯金数(勝数)による順位と勝率による順位とが一致する。一方、同じくゲーム差概念が根付いている日本のプロ野球では引分が存在しており、試合数から引分を除外して勝率を計算している。そのため、貯金数はAがBよりも多いが、勝率ではBがAを上回るケースも生じる。この場合、ゲーム差は有効な指標とはならなくなってしまう。

具体的には、2008年のイースタン・リーグでシーズン終了時に東京ヤクルトスワローズが貯金数では2位の読売ジャイアンツより少ないながらも勝率で上回り、優勝した例がある。
ピタゴラス勝率 = 得点x得点 ÷(得点x得点 + 失点x失点)
チームの総得点と総失点から期待される勝率を導き出す式。勝利と敗北の比は得点と失点の比の二乗に比例するという統計的な法則を表している。名称は式の形が「ピタゴラスの定理」を思い起こさせるところから来ている。
守備効率 = (ゴロアウト + フライアウト + 併殺) ÷ 総打球数
Defensive Efficiency Ratingの略。
インプレーとなった打球をチーム全体でどれだけアウトにしたかという割合を表す。選手個人の守備成績ではなく、チームごとの守備力を比較する際に使われる指標である。


作者: JEXこの指標追加してくれ!というのがありましたらこちらへ(*^_^*)